2011 年 60 巻 10 号 p. 791-797
電子タバコから発生する煙の成分をハイドロキノン(HQ)と2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を用いた二連カートリッジ法(HQ-DNPH法)で分析し,発生する化学物質,生成メカニズム等の検討を行った.市販されている電子タバコの煙を分析した結果,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アクロレイン,グリオキサール,メチルグリオキサール等,多くの有害なカルボニル化合物が高濃度で検出された.電子タバコ専用カートリッジに含まれる液体を分析した結果,主成分はグリセロールやグリコール類であった.そこで,様々なグリコール類をコイル状のニクロム線に塗布した模擬電子タバコを作製し,一定の電圧を印加し,そこから発生する気体を分析した.その結果,3 V以上の電圧を印加すると,エチレングリコールからグリオキサールが,プロピレングリコールからメチルグリオキサールが,グリセロールからアクロレインが発生することが明らかになった.